消費税増税が迫る中、タバコの価格が値上がりすることになった。
これはその他多くの品物の値上がりとは違い、増税分だけでなくタバコの価格そのものが値上がりするもので、結果的に価格と税金の同時増額というダブルパンチになる。
実はタバコの価格は頻繁に値上げされているが、そこには実に巧妙な値上げ幅による喫煙者引き止めの背景がある。
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これまで値上げが幾度となく実施されてきたが、2014年には増税と同時に10円~20円の値上げとなる。これはJTだけに限らずその他のタバコでも同じように値上げする方針で、多くのタバコが1箱410~440円になる。
このたばこの値上げはこれまでと同じようにタバコ会社の利益向上はもちろんのこと、値上げによって禁煙に舵を切る人がいる場合を想定し、その分の損失を現役の喫煙者に肩代わりしてもらうためのものである。
セブンスターを例にとってみると、その値上げ幅は実に絶妙だ。
・1969年 100円
・1975年 150円
・1980年 180円
・1983年 200円
・1986年 220円
・1997年 230円
・1998年 250円
・2003年 280円
・2006年 330円
・2010年 440円
・2014年 460円
このように値上げの推移となっているのだが、2010年こそ急激な値上がりとなったものの、それ以外の値上がり幅を見ると実に少しずつ値上がりしているのがわかる。
10円単位での値上げは喫煙者にとって負担となるが、いざ実施されてしまえば結果的にこの程度は許容範囲となってしまうことが多い。
絶妙な値上げによって消費者が離れていくことを防ぐのは企業努力の賜物である。
日本の喫煙率が下がる中で残存利益を追求するためには値上げが最も単純な戦略だからである。
喫煙率の低下は若者の健康志向によるもので、中高年の世代では相変わらず喫煙率が高いこと、タバコの場合にはやめられない人も多いので値上げによる残存利益の確保が容易であることから、少しずつ値上げをしていけば必ず一定の消費者が残るため、実に巧妙な値上げ幅に慣れてしまい喫煙をやめられない人が多い。
以前とは物価が違うとはいえ、200円のタバコが急に440円に、2倍以上に一気に値上がりしたとなれば禁煙に走る人が増える。
少しずつ値上がりすれば多くの人が禁煙することはないだろう。
増税をきっかけに価格の仕組みを考え、禁煙に踏み出してみよう。