2014年2月9日に行われた東京都知事選挙では舛添洋一氏が他の候補を圧倒的に引き離す形で当選した。
知名度も高く最有力候補とされていた同氏とは対照的に、以前から注目度だけは高かった細川護煕(もりひろ)元総理は同じく元総理である小泉純一郎氏や、民主党(管、野田元総理)のバックアップを受けるなど、布陣だけを見れば豪華絢爛であったものの、結果的には遠く及ばずという結果になった。
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多くの候補が立候補していたが、実質的には舛添洋一氏・細川護熙氏・宇都宮健児氏・田母神敏雄氏の4人の争いとなった。
結果は舛添氏が他の候補に大差をつけ当選する形となった。
当選して新都知事となる舛添洋一氏は自民党の強力なバックアップを受け、その知名度や無所属でありながら事実上の自民党候補のような立場であったために有権者たちの支持を集めたものと思われ、政策の争点にも景気雇用対策を挙げていたことから、無党派層の支持を取り込み多くの得票を獲得した。
宇都宮健児氏は共産党や社民党などに支援されていたため、同政党支持者のある程度の固定票だけでなく、元日弁連会長という実績、政策では福祉の充実を最重要課題に掲げるといった人口の割合が多い高齢者受けを狙った選挙活動を展開したものの、その言動や支援政党の関係からいわゆる保守派の票を集めることが出来なかったことによって大敗した(全体では第2位の得票)。
田母神敏雄氏は日本維新所属の国会議員である会石原慎太郎前都知事の支持をバックアップとして原発の維持や雇用対策、さらには首都直下型地震の対策をはじめとし、靖国参拝の必要性を訴えるなど、一般層と保守層の双方の浮動票が流れると見られていたが、知名度や支援政党の影響からか、結果としては全体で第4位の得票となった。
細川護煕氏は、元総理大臣という肩書と脱原発というキーワードを前面に押し出し、小泉元首相が応援に駆けつけるなど注目度だけに限れば他の候補を圧倒していた。同時に民主党がバックアップを表明するなどしていたが、掲げていた政策が曖昧(脱原発のみで具体的な都政のビジョンが無かった)であったことや、民主党のバックアップがあったことから、未だに民主党アレルギーが抜けない有権者の票を獲得できなかったこと。都政選挙でありながら脱原発やTPPなど国政に関連する言葉を発していたことから、地に足がついていない候補者という印象を与えてしまったこと、猪瀬直樹前東京都知事が5000万円の借入問題で引責辞任した一方で、自身は総理大臣時代に1億円にもおよぶ政治と金の問題を抱えていたことも有権者の信用を得られなかった要因となった。
選挙の結果そのものは順当な結果となったが、一方で興味深いことも浮き彫りとなった。
若者と高齢者の世代間ギャップと細川陣営の注目に反比例している得票数である。
20～30歳の投票先は舛添氏が1位である一方で田母神氏が第2位となり、若い有権者はより保守色が強い傾向が明らかとなった。
70歳以上の高齢世代では同じく舛添氏が最も得票を獲得したが、若い世代が田母神氏に投票したことに対し、舛添氏と細川氏に票が集中したことから若年層との違いが明確となった。
若年層はインターネットを情報源とする一方で高齢者は主に新聞やテレビが情報源である。インターネットでは有権者に関する過去の情報だけでなく一層詳細な情報を閲覧することが出来る一方、新聞やテレビでは情報を遡及することは困難(送り手の一方通行の情報)であるため、高齢者は投票先として知名度(過去のもの)に影響を受けやすいと思われる。
注目されていた細川陣営であるが、多くの観衆を集めていた光景とは裏腹に得票率は伸びなかった。原因は細川氏の演説に注目して聴衆が集まったのではなく、小泉純一郎元総理大臣を見物しに多くの人が集まったこと(安倍首相は連日テレビで見かけるが小泉元首相は引退後にあまり露出していなかったために物珍しさから観衆が集まった)や、元総理同氏が並ぶという光景が珍しかったことから注目だけはされていたと考えられる。
東京都知事の任期は4年。東京都の経済規模はスウェーデンや韓国に匹敵するなど日本全体にも大きな影響を与える。舛添氏は今後どのような都政を展開していくのだろうか。
