ホワイトカラーエグゼンプションという新しい試みの実施が議論され始めた。
場合によっては残業代0円という解釈も可能なこの制度は、アメリカやドイツなどの先進国ではすでに適用されていて、日本でも今後制度の導入が噂されていた。
国家戦略特区の一部としてスタートする可能性のあるこの制度であるが、今後の日本の労働のありかたを左右するものになるかもしれない。
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この制度自体は小泉政権時から検討されてきたのだが、マスコミ各社は労働時間が成果とみなされなくなることによって残業代が支払われなくなる(残業を時間外労働として扱わないため)という極端な表面部分のみを報道して世論を煽り、その結果制度導入がとん挫した経緯がある。
本来は上記のように労働時間の規制緩和をすることによる労働効率の改善を目的としたものである。
つまり、規制緩和=労働時間の増加というのではなく、規制緩和=労働者自身が労働時間と成果を管理するものなので、実際には日本人が直面している長時間労働とは逆に方向を見据えた制度である。
先述したように、国内では表面だけを報道されたために反対意見が相次ぎ、残業代未払い(本来は残業が無いため)という部分だけが1人歩きしてしまっている。
反対派の意見としては、残業代が無くなるということや長時間労働を国が認めることになるとして。賛成派の意見としては、労働時間が成果となるのは現実的でないだけでなく、無意味なカラ残業によって成果以上に人件費が膨れ上がる。本来は成果が賃金に繁栄されるべきであるという考え方である。
今の日本では長時間労働などの過酷な労働環境が社会問題となっているが、日本の変化を嫌う風潮(あくまで労働時間を成果とする習慣)や事なかれ主義(成果が出せなかった場合のことを考えて、労働時間=成果という形を好む)が根底にあるために、制度導入後には本来の目的通りに効率化を推進することは困難だと思われる。
日本では労働の対価として賃金と同じくらいに人間関係の安定などが重要視される(職場での人間関係が必要以上に労働環境の良し悪しを左右する)傾向があり、社会全体で効率化の定義と方法を再確認しなければ制度の長所を実現することは困難だろう。
ホワイトカラーエグゼンプションは完全な成果主義となる。これまでの日本には無かった完全実力主義の時代がやって来るかもしれない。