2014年のワールドカップ。開催国ブラジルの大敗やドイツの安定した強さ、アルゼンチンの決勝戦の粘り等の見どころ満載で盛り上がった同大会。
開催国のブラジル国内では、ワールドカップの開催中に多くの反対意見が出て、政府に対して教育費や福祉サービスを求める市民が立ち上がり、暴動同然の多くなデモが広がっていた。
実はこのデモ、以前から注目されていたアマゾンの熱帯林乱開発とも無縁ではない。
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しかし、広大な面積とは裏腹にアマゾンの土地は痩せていて、焼き畑で開発してすぐに終了。その後はマンガン・金・アルミ・ボーキサイトの開発を進めた(日本はそれらの大きな消費先であった)。
RFJ(熱帯森林保護団体)の報告よると、アルミ精製の際に使用される電力を確保する為にダムを建設した際、枯葉剤を使用して木々をなぎ倒す行為が行われていたとされている。
このようにアマゾンは開発されているのだが、2004年に日本やアメリカで流行したBSE(牛海綿脳症)によってさらなる用途が広がるようになった。 世界の牛肉消費地であったアメリカでBSEが各国に与えた影響は大きく、日本でも吉野家が経営危機になるという打撃があったが、ブラジル政府はこれを機にアマゾンを牧場に変えて牛肉の生産量を増加させた。
そして同時にトウモロコシや大豆の畑を開拓(先進国では大豆の需要が伸び、トウモロコシはエタノールとして燃料に変わっている)。先進国の需要に応える形で(ブラジルから見れば他国の為)土地や資源が削られ、環境と引き換えに得た利益の多くは一部の富裕層に集中している。
これでは国民がデモを起こすのも無理ない。
アマゾンの開発はブラジルだけでなく世界中にとって深刻な問題である。
環境省の予測では、2000~2005年までの間に減少した森林は年平均309万ヘクタール・2005~2010年の間には219万ヘクタールが減少している。これだけを見ると確かに森林減少スピードは鈍化しているが、219万ヘクタールとは東京ドーム換算で46万8397個分(東京都の面積の10倍)。1日に換算すると東京ドーム1283個分の森林が消失している。
人間の食料確保の為に環境が壊されている。一方で環境を破壊せずに人口が増える今の世界で食料を確保する手段は限られてくるだろう。