140px NASA logo.svg 出口の見えないアメリカ財政問題。NASAまでもが閉鎖される事態に!
2014会計年度の暫定予算案が成立しなかったことを受けアメリカ政府機関が一部閉鎖した問題がNASAにまで波及している。

結果的にNASAの職員の内18000人の中で97%が自宅待機を強いられている。またペンタゴン(国防総省)では文民職員80万人の約半数が一時帰休となった。

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NASAをはじめとし、閉鎖されたアメリカ国内の各機関が閉鎖される事態となった原因は、与党民主党と野党共和党の国民医療保険改革を巡る攻防が泥沼に陥ったため、2014年度の予算が成立する目途が立たなかったことによるものだ。

384px President Barack Obama 出口の見えないアメリカ財政問題。NASAまでもが閉鎖される事態に!オバマが兼ねてから目指している政治改革の内容はオバマケアと呼ばれ、保険料の強制徴収や所得の低い層への補助金交付など、低所得者層への配慮をした内容である。

アメリカと日本の違いとして比較的多く引き合いに出されるのは、日本や欧米では当然となている国民皆保険制度の有無である。

日本人の感覚では誰しもが国民皆保険の方が良いのではないかと考えることが多いが、アメリカでは国の成立の過程やそれに伴う思想、肥大化しすぎた保険会社の力がロビーにまで影響を及ぼしているために、国民皆保険に疑問を抱く声が多い。

元々アメリカ建国の理念は自由であるために、今回の政府の国民に対する干渉は自由を侵害するものであり、アメリカの建国の理念に反するため、あってはならないものであるという考えがある。そのために保守政党である共和党やその支持者、保守的な考えを持つ人は、医療保険改革(今回の場合は保険料の徴収)は国民の自由を侵害するとして大きく反対している(実際はオバマに泥を塗り、共和党への支持を獲得するためだとも言われているが)。

保険会社が肥大化しすぎたことも今回の問題の大きな要因である。
保険制度を民間企業が担い、アメリカという巨大なマーケットで多くの人に必要不可欠なものとして成長してきた保険企業各社はアメリカ連邦政府とも太いパイプを持っている。
オバマが目指している国民皆保険化が実現すれば、既存の保険会社が持つ信用が政府の保険機関に根こそぎ奪われ、利益の独占を出来なくなってしまうために、共和党に対して膨大な資金を後ろ盾にしてロビー活動を展開している。また、政府機関の停止は保険会社にとって大きなビジネスチャンスである可能性も否定できない。

今現在、今回の予算不成立の問題が日本に対する影響は少なくないと考えられる。アメリカ政府関連機関と取引のある銘柄の株価下落がその他の株へも派生することで、日本全体の株価下落を誘発したり、アメリカ政府に対する信用が薄れることで、相対的に日本円を買う動きが活発化すると考えられるために円高に逆戻りするとも考えられる。

ちなみに、アメリカ軍に対する給与の支払いなどはギリギリで合意に至ったため、軍事作戦等への影響は少ないと声明が出されている。

果たして最悪のシナリオを回避できるのだろうか。