厚生労働省は2014年1月の有効求人倍率が1.04倍となり、6年半ぶりの高水準にまで回復したと発表した。
一見すると雇用が回復しているかのように感じるこの内容、しかし実際には求職者とのミスマッチが存在するだけでなく正社員の求人実態は掲載されていないなど、現実とはかけ離れたものとなっている。
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有効求人倍率はその地域全体の雇用情勢の統計であると勘違いしている人も多いが、その算出方法にはハローワークにおける調査に限定されていることや正社員の求人だけでなく派遣やアルバイトの求人も統計に含まれている。正社員を求めながらハローワークを利用していない人間は最初から分母に含まれていないため、その地域における本当の意味での求人倍率ではないという問題点や正社員の求人に限定した場合には著しく求人倍率が減少する点が指摘されている。
求職者が求める職とはあくまでも正社員としての立場であるが、実際に存在する求人には派遣やアルバイトとしての雇用が多いことや低賃金重労働の労働内容から敬遠されてしまう求人も存在していることが原因で現実には雇用回復に繋がっていないという指摘もある。
近年問題になっているカラ求人も分子に含まれていることにや就職を諦めた人間は分母に含まれていないことが相対的に求人倍率の底上げに一役買っていると見られている。
時事通信の記事では製造業や人材派遣などのサービス業で求人が増えていると報道されているが、製造業は期間工で人材派遣は派遣社員という実態、自動車産業は消費増税前の駆け込み需要に対する緊急な求人と考えられることから本当の意味での雇用回復には結び付かないだろう。
給与という面では低賃金を敬遠する求職者とコストカットを最優先事項に掲げる雇用者とでミスマッチが生じている。
有効求人倍率の実態を知れば景気回復など口が裂けても言えないだろう。