pollen 3 花粉症になる人ならない人、生育環境の違い。
日本人の25%、4人に1人の割合で苦しむ人がいる花粉症。

20世紀後半から先進各国でアレルギー患者が急増してきたように、日本でも花粉症患者は増加傾向にある一方で、何故か花粉症にならないという人々が存在することも事実である。

様々な理由が指摘される中で最も支持されている説は、生活環境の違いにとって花粉症になりやすくなるかどうか決まるというものだ。

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花粉症の患者が増加傾向にある理由として一般的に認識されているものは、スギの植林によって花粉の絶対量が増えたためという説である。

確かに花粉の増加も要因の1つと考えられるが、多少の環境の変化だけでは花粉症患者の増加の説明として不十分であるという声もある。そんな中注目されるようになった説は生活環境によって花粉症が発症する確率に違いがあるというものだ。
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ミュンヘン大学の研究チームは、農家で生まれ育った子供たちは都会で育った子供たちと比べて花粉症(アレルギー)になりにくく、その理由は幼少期にエンドトキシンという物質と接する機会が多いために多くの毒素に対する抗体が出来ているからであると推測した。

エンドトキシンは主に動物の糞から発生することから、動物と接する機会が多い農家の子供たちが花粉症に強くなることも頷ける。逆に考えると清潔な環境で育つことで花粉症になりやすくなるのだ。
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上記のように、ある程度不潔な環境で育つとアレルギーが発症せず清潔な環境で育つとアレルギーが発症することを「衛生仮説」と呼び、そのメカニズムは乳児期に決まる体全体の細胞バランスによって決まると考えられている。

人体には免疫を司るヘルパーT細胞が存在し、さらにⅠ型Ⅱ型に分類される。

Ⅰ型の細胞は体に害があるウィルスや細菌に対して働くのだが、Ⅱ型の細胞は体に害の無い物質に対しても排除行動が働いてしまい(IgE抗体という花粉症の原因となる抗体を作る)それがアレルギー反応となる。

つまり、Ⅰ型細胞よりもⅡ型細胞が多ければそれだけアレルギーを発症する確率が増えるということになる。また両細胞の比率は生後数週間から数年の内に決まることも判明しており、生まれてすぐの時期に細菌やウィルスが多く体内に侵入するとⅠ型の細胞比率が増え、あまり細菌などが侵入しなかった場合にはⅡ型の細胞比率が増える。

ある程度成長するとこの細胞比率は変わらなくなってしまうため、幼少期に毒素に触れていないとアレルギー体質(花粉症を発症しやすい)になってしまうのだ。
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子供をアレルギー体質にしないためには過度に清潔な環境での生活は逆効果となる。
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仮に現在花粉症に悩まされていても、ここにきて新薬花粉の出ない木が作り出されるなどの進歩により、一層完治する可能性の高いアレルギーとなっていくだろう。